理事長所信

 

 

『夢大』

理想をもって大きな夢を熱く語ろう。

夢を実現するためのチャレンジをしよう。

私たち一人ひとりがこの地域の主役なのだから。

理事長 小嶋宏志

理事長 小嶋 宏志

~はじめに~

『夢大』(たいむ)この言葉は郷土の偉人、戦国時代の名将である上杉謙信公が1570年・元亀元年に書として残したと云われている格言です。戦国時代屈指の軍神として知られる上杉謙信公は神仏への信仰が深く、他者を慮る、義の精神を重んじた人物でした。戦乱の世にあって民を想い、世を鎮めるよう毘沙門天に成り代り、天下泰平という大きな夢を描き、この越後上越の地を生きていたと伝えられています。440年前の先人がこの越後上越の地を想い、泰平の世を創ろうとしていたにも拘らず、現代の我々はJCの理念である、「明るい豊かな社会の創造」という夢をしっかりと描けているでしょうか。地域の未来を描き、問題解決に取り組まなければ、誰が上越の未来に責任を持つのでしょうか。今を生きる我々が440年前のリーダーの精神性と先輩諸兄から54年という長きに亘り継続されてきた想いを胸に、まちの未来を創るための大きな夢を描き、青年会議所運動に邁進しようではありませんか。
青年会議所運動は、明るい豊かな社会を創造するという理念の下、様々な社会問題に対して理想を掲げ、地域の抱える身近な課題に落とし込み、解決に取り組んでまいりました。しかしながら、昨今の社会問題は人口減少、少子高齢化社会、デフレ経済、経済格差など構造的な問題が山積しており、ミクロな視点だけでは解決困難な課題も多く、単年度で解決される課題ではないのかもしれません。しかし、これら地域の課題として真摯に向き合い、市民の声に耳を傾け、産学官民の連携により解決策を見出し、10年後、30年後、50年後の上越に対して明るい豊かな社会のビジョンを思い描き行動することが重要です。まずは我々JCが大きな理想を掲げ、若者らしい夢を語り、それが例え困難な道のりであっても夢を実現するために行動を起こしましょう。ただし、我々だけの力では課題解決はできません。我々の行動が地域全体に伝播し、共感を得ることで初めて、地域に対して意識変革をもたらす運動へと変化し、大きなうねりとなって大きな夢が実現すると信じます。まちは政治や行政が創るものではありません。上越の未来は、市民一人ひとりが地域に対する愛着をよりどころに、どんな夢を描くかに懸かっているのです。我々JAYCEEが先駆者となり、最高の地域資源を活かし、市民が主役の持続可能な上越を共に創造しましょう。

  

~夢ある北陸信越地区大会の実施~

本年、第60回北陸信越地区大会地区フォーラムを上越JC主管で執り行ないます。上越JCにとっては1979年以来38年ぶりの事であり、この上越地域を幅広く発信できる絶好の機会です。我々が暮らすこの上越地域には、素晴らしい歴史や伝統文化、自然環境、インフラ環境といった最高の資源があります。この地域特有のソーシャルストックを“コト・ヒト・バ”の魅力として地区大会で再興し、地域資源を磨き高めることで、感動を生む大会を創造します。「コト」の魅力とはすなわち、人々が生活する風土であり、文化であり、この地の歴史や伝統です。まずは我々自身がまちに出て、このまちのコトの魅力を再発見し、その魅力を真に理解することで、地域ブランディングの機会として本大会を活用します。次に、「ヒト」の魅力です。地域に埋もれている魅力ある人財を発掘し、その人間力にスポットを当て、大きな夢を熱く語る機会を創出します。まちづくりの真髄はひとづくりと言われるように、人財興しを地域活性の契機として活用し、地区大会という最高の舞台にて未来を拓くきっかけとなるよう演出します。最後に「バ」の魅力として、この上越地域のポジショニングの提唱を行ないます。上越市は古くから交通の結節点としての地理的優位性があるとして語られてきました。新潟市と富山市のほぼ中間に位置し、古くから長野県と経済的にも人的にも結びついていた土地柄です。この地の利、北陸信越においての交通の十字軸としての強みを生かした上越地域のまちづくりにおける大きな夢を語る機会とします。“コト・ヒト・バ”これらを強く発信する事で、地区大会が上越市民一体となった夢ある最高の大会になるよう盛り上げて行きます。

  

~夢ある仲間を増やし運動の共感を拡げよう~

会員拡大はJC発足以来、唯一の継続事業であり、JCの最も重要な運動です。一般的にJCの運動は「不連続の連続」と言われていますが、会員拡大は「連続の連続」の運動でなければなりません。メンバーの精力的な拡大は、事業の波及効果を高め、青年会議所運動を加速させる重要なピースです。なぜなら、メンバー一人ひとりが人的ネットワークを持っており、我々の運動はそのネットワークによって発信され、青年会議所運動に対する賛同を得ているからです。仲間が増えれば、より広く密度の高い網となって運動が発信され、加速度的に拡散します。すなわち、青年会議所運動を発展させていく為には、より多くの人財が必要不可欠なのです。また、「会員拡大は個人競技ではなく団体競技である。」と言われます。明確な目標を掲げて全員で会員拡大に取り組み、戦略的かつ継続的な仕組みを確立することが肝要です。会員拡大は難しい運動と捉える必要はありません。JCは、JCでしか得られない気づきと学び、最高の経験と仲間を得ることが出来る青年経済人のための唯一で最大の学び舎です。ゆえに会員拡大はその気持ちを伝えてゆくシンプルな活動なのです。会員拡大運動を通じ、一人ひとりがJCの本質を理解し、JCの魅力をしっかりと伝えることで、熱く夢が語り合える同志の輪を広げます。

 

~新たな価値観を持つ人財育成を~

本年、日本青年会議所北陸信越地区協議会・新潟ブロック協議会へ委員長他、沢山のメンバーを輩出します。出向の魅力とは、それぞれの地域で培われてきた価値観、歴史観、文化との交流です。更に様々な個性を持った仲間との協働による新たな価値観の創造が生まれる機会でもあります。出向は、自身に新たな価値観を生み出し、人生を変えるほどの影響をもたらすとともに、「個」を強くします。全国には高い志を持った仲間がたくさんいます。彼らに触れることで志を立て、覚悟を持って挑戦する事の大切さを学び、固定観念に囚われず、自分の可能性に挑戦する闘争心や自分の限界を越えようとする冒険心が芽生えます。そして、「個」の成長と経験を、人財育成の仕組みとしてLOMにフィードバックすることにより、LOMの総合力を増強させることが出来ます。出向を契機に、JAYCEEとして自らが成長し、新たな価値観を生み出す人財になるだけでなく、メンバーを育成し、LOM全体を牽引することができるリーダーへと成長することを大いに期待します。

 

~負託と信頼に応える進化する組織に~

公益社団法人として、地域の負託と信頼を得る組織である為には、法令の遵守はもちろん、財務の健全化や透明性を更に押し進め、組織の揺るがない基盤をしっかりと築き、つないでいく必要があります。その上で強い信念をもって組織を進化させるためには、セレモニーや総会・各種会議・交流事業など、慣例で行なわれていることについても検証し、見直しを図り、より良い変化を加えることも必要です。一方で交流という青年会議所運動の潤滑油となる横の繋がりを深めることも大切であり、一体感のある組織へと深化するために欠かせません。メンバーが集まる機会を最大限に活用して関係を深めるとともに、真剣に意見交換する場を創出することで、互いを高め合える仲間づくりを推進します。更に、OB会員・現役会員・賛助会員との絆を強固にし、共感の輪を広げ、地域に良き理解者、協力者を増やします。そして、青年会議所運動をより多くの人に理解して頂くためには、戦略的な広報活動が欠かせません。インタラクティブな情報交換を行なうことで、時代の変化を読み、正確な情報を広く社会へ発信できる組織へ存在価値を高める必要があります。LOMの情報発信の多元化と情報管理の一元化に努め、地域から世界へ上越JCの運動を波及させます。

 

~フロアーからフォロワーへ、そしてリーダーへ~

現代社会において「自分さえ良ければいい」といった利己主義や経済活動における利益至上主義が蔓延し、それは地域のリーダーたるべき我々の中にも同様に感じられ、リーダーとしての資質低下を危惧せざるを得ません。個々を取り巻く環境は様々であり、苦労しているメンバーもいると思います。しかし、不平不満を言ったり、出来ない理由を並べたり、最初から無理だと思って諦めるのではなく、社会への奉仕・個人の修練・世界との友情という機会として前向きに捉え、どうしたら出来るかを考え抜き、何事にも全力で挑戦して欲しいと思います。JCには必然的な出会いがあり、前向きな涙を流すことや大きな感動を味わうことが出来ます。JCは、青年経済人のための唯一で最大の学び舎であり、自らがまだ見ぬ世界に一歩踏み出すことで素晴らしいチャンスを掴めます。まずは傍観者となることなく主体的に物事に向き合い、利他の精神とフォロワーシップを身につけることから始め、自己を成長させることに挑戦しましょう。青年会議所運動を通じて、自らがリーダーとして自立することで、家族への想い、仲間への想い、組織への想い、社会への想いが育まれていき、その過程でJAYCEEとしての意識変革が起こり、フォロワーからリーダーへと成長すると信じます。

 

~健康長寿な社会を目指す~

2025年(平成37年)、いわゆる団塊の世代が後期高齢者となる日本は、全国民の3人に1人が65歳以上の年齢を迎え、超高齢社会を迎えます。その中で上越市においては、全国に先駆けて2020年(平成32年)に高齢者人口が61,061人、高齢化率31.9%となり、上越市人口の約3分の1が65歳以上の後期高齢者社会となるという統計があります。上越市の医療、介護分野での財政支出は今後更なる増加が見込まれます。今後、全国的に人口規模、経済規模、財政規模全て縮小していく中、生活習慣病予防、介護予防、メタボリックシンドローム予防に取り組み、健康長寿でウェルネスなまちづくりを推進していくことが必要です。一説によると、まちの生活環境そのものが住む人の健康に影響すると言われることから、健康的な心身の土台づくりには、まちづくりを通じた生活環境の改善が必要だと考えます。また幼少期からの生活習慣病予防は、医療費抑制にもつながり、個人と社会の双方にとってメリットがあります。更にビックデータ等を活用し、エビデンスに基づいた効果的な健康プログラムを確立し、市民全体で取り組むことができれば、生涯ウェルネスなまちが実現します。そのためには健康に関心のある層だけが行なう健康づくりという現状から脱却し、全市民参加型の健康づくり運動が必要であり、健康に触れる機会やコミュニティを創出し、健康を生み出すまちづくりを展開することが急務と言えます。

 

~まちのとまり木を創ろう~

中心市街地は様々な都市機能が集積し、経済活動やコミュニティの中心として市民生活を支え、地域の発展に重要な役割を担ってきました。しかし昨今、地域コミュニティや商店街組合など、地域を支えてきた結合力が徐々に弱まり、緩やかに衰退に向かい始めています。地域解体の危機が叫ばれる中、解決策の一つとして注目されているのが、ソーシャルリノベーションであり、遊休化したまちの潜在資源をまちづくりに活用しようという取り組みです。これまで人が滞在する場所が無かったエリアに、新たな発想で滞在場所を創る事で、若い世代や様々な価値観を持った個人が集まり、交流することで地域に新たな活力が生まれます。空き家や町家といった遊休資産や城下町特有の潜在的な社会インフラを活かし、地域の魅力を体感出来るフィールドを創出するとともに、新たな形で地域の資源や魅力を広く発信します。また経済的に循環できる仕組みを見据え、IUJターン等の流入人口拡大を喚起することで、まちなか交流人口の拡大を創り出します。とまり木が無ければ、鳥もとまらない。まちのたまり場が無ければ新たな夢も文化も生まれません。市民と協働したまちのリノベーションを通じて、交流人口増加の可能性を広げる地域創生の新たなコミュニティを創造します。

 

~結びに~

『Dream can do, Reality can do』

アメリカ合衆国・シアトルにあるアメリカ航空宇宙局NASAの門には「夢を思い描くことができればそれは現実になる。」という言葉が刻んであります。宇宙という未知なる大空間に挑む技術者たちがいつも胸に持っている言葉だと言われています。技術者たちが宇宙に挑戦するように。戦国時代の武将が地域に夢を描いたように。変革の能動者たる私たちが大きな夢を本気で語り、大きな理想をもって市民とともに、まちを創ろう。本気で夢を語る姿に人は熱くなる。周りを熱くさせ、惹きつける。信念をもってがむしゃらに進めば、同志が集まり、大きな夢は必ず実現する。

 

理想をもって大きな夢を熱く語ろう。
夢を実現するためのチャレンジをしよう。
私たち一人ひとりがこの地域の主役なのだから。

 

JCだから出来ることがある。JCでしか出来ないことがある。勇気ある一歩を踏み出し、大きな夢を語り合い、成長を実感できる一年にしましょう。人生のあらゆる局面において、まずは第一歩を踏み出すことが重要であり、結果は必ずついてきます。それが困難な道のりであっても未来を想い描いたビジョンが明確であり、それに立ち向かう英知と勇気と情熱があれば必ず正しい道に進んでいけると信じます。我々が様々な成功や失敗を経験し、成長することで、この地域を明るい豊かな社会へと導くことが出来るのです。まちを変えるのに必要なのは、100人の合意ではなく、一人の覚悟です。覚悟を決めた我々が本気で動けばまちは変わる。我々一人ひとりが地域の主役となり、未来を変えるのは自分自身であるという当事者意識と大きい夢を持って突き進もう。