公益社団法人 上越青年会議所 総務委員会が行います 「JC PRIDE 発信事業」は、各分野のリーダーと保坂理事長が対談(鼎談)を行う企画です。
対談内容は、上越タイムス誌面に掲載させていただき、幅広く地域の方に向けてJC活動を発信していこうとする事業です。
3回目の今回は、津南町議員院 桑原悠氏 と、直江津地区連合青年会 八木秀次会長をお迎えしお話をさせていただきました。
『若者よ 今こそ政治参画を』と題して若者の政治参画の必要性について意見を交わしました。
上越タイムス5月26日記事
記事全文
保坂 青年会議所では、若者に政治参画の意識を持ってほしいと考えている。投票に行かないことや政治にまったく関心を持たないというのと合わせて「誰かがやってくれる」、「おれらには関係ない」など、当事者意識も欠けている。この地域を本当に良くするのに、自分たち以外に誰がいるのか。まず政治というものに興味関心を持ってほしい。
そこで、古くから祭りに情熱を燃やす直江津という地域で若者を率いている八木さんと、若くして政治家を志して奮闘中の桑原さんにお話を伺いたい。最初にふるさとの現状について、思うことをお話しいただければ。
八木 (上越市の)合併に対しては、大きすぎたのかなと。色んなサービスが行き届いていない、色んな個所に目を向けてもらえていない。直江津だけではなくて。ぼやけてきているという感じを受ける。直江津についても、高校がなくなったりして段々さみしくなっていると思うところもある。
桑原 全国的に少子高齢化社会だが、農村部である我が町は加速度的に進んでいて、今(人口が)一万一千人を割ったくらいだが、十五年くらいたつと七千人台になると推計されている。
良く考えるとこれは大変なこと。特に高齢化率は三人に一人が六十五歳以上だが、十五年後は二人に一人になる。これからどうなるのか、という先行きの不安が特に若い世代にあると思う。
保坂 若い世代にも実感としてあると。
桑原 はい。
保坂 八木さんは若者の感覚、とらえ方をどう思いますか。
八木 わたしは直江津ばっかり見ているのですが、直江津はどこの場所を見ても特質なのかなと。今の若い世代はあいさつができなかったりするところがあると思うが、直江津に関してはそれは皆無。自町内だけではなく、直江津祇園祭に関わっている町内の人達と、普段、町中で出会っても普通に声をかけられるのが直江津のすごいところ。
保坂 コミュニティーができているということですね。
八木 私たちの地元には直江津祇園祭という核があるから。それは他の場所に誇れるものだと思う。
保坂 地元の若者の意識としては、コミュニティーの中ではいきいきと充実していると。
八木 直江津の中ではそうだが、全体で見ればグループごとに徒党を組んでいて、「ほかが何しようが好き勝手」という部分も見える。
保坂 それを打破するために必要なことは。
八木 やはり対話が大事。自分たちの意見を言うだけでなく、相手のことを思うこと。そういう輪を広げられる場を設けてあげることだ。
保坂 小学校で例えると、あるクラスはすごく盛り上がっているが全体の行事になるとバラバラで、交流がないから学校としては盛り上がっていない、ということでしょうか。
八木 対談や座談会という場を設けられる活動できれば、若い人の輪が広がるのかな。
桑原 八木さんの直江津での活動が広がっていくといいと思います。
八木 わたしたちの地元から見た目ですけれどね。ほかの地域でも頑張っているところは絶対にあると思う。
保坂 おそらく皆頑張っていて、同じ思いを持っているはず。それがなかなか融合しないから、バラバラ感がある。皆が集まっているから一つにまとまらない。
実は今年、青年会議所のある委員会でそれをまとめる仕掛けをしている。上越市は地域ごとの盛り上がりはあり、文化はあるが、お互いを知らない。十四の自治体が一緒になっているわけですから。バラバラ感がある中でも、コミュニティーができているところは光っている。それを生かすのがこの先の課題です。
桑原 津南は合併を選択しなかった町。財政を見ると交付税で成り立っているような町で、合併しなかったことのデメリットを見ると、これから十日町市と比較すると公共サービスの差が開いていくのでは。いわゆる義務的経費が大半を占め、自分たちで自由に使えるお金が少ないというのが一番大きい。それでも合併を選択しなかったのだから、小さい町なりに輝く独自性を出せたら、というのが現状だと思う。
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保坂 逆に独自性は出しやすいのではないでしょうか?
住んでいる人たちは、本当に自分達だけ、という意識を持ちやすく、責任感も強いかと思います。
桑原 本来はそうあるべきなのですが、現状に甘えている、という側面もあります。
今のところは、日々の生活に困らない状況なので危機感もない。5年後、10年後の公共サービスに開きが出てくれば、危機感は自然と出てくるのでしょうが。
保坂 世界を見渡してみても、国政が不安定なところは投票率が高い。政治に対する選択が人生を決めることになる。生活がダイナミックに変わることになるからだと思う。
つまり日本は安心・安全が大前提で、平和に暮らすことができる国であるから、投票率が上がらない一因とする見方もある。
桑原 地元津南に関して言えば、(先ほどの公共サービスの問題等)すでに現状において危機感をもち、あらゆる面において変革をしていくべき、ということを分かりやすく客観的に伝え、町全体で当事者意識を共有したいと思っている。
話は変わりますが、7月の参院選からネット選挙運動が解禁になります。これは若い世代の有権者と政治をつなげるいいきっかけになると思いますね。
保坂 関心層の拡大にはなるでしょうね。八木さんは、若者の政治離れについて、何がそうさせていると思いますか?
八木 自分が1票入れても変わらない、という思いが根本にある。
報道を見ていても、政局に終止していて政党間の足の引っ張り合いにしか見えない。ネット選挙解禁となっても、それが若者層の政治参画拡大につながるかどうか疑問である。
保坂 託したい、という政治家がいなければ、1票を投じようと思わないかもしれませんね。ネット選挙解禁がさらに進み、(難しい問題はたくさん抱えているが・・・)ネット投票になったとしても、結局、情報をどこで得るのかは重要な問題。
私の経験上、マスコミやインターネットだけで情報を拾うよりも、政治家と対面し、生の声を聞くと全然違う印象を受けることがある。
中には、とてつもない信念や、オーラを持っている方がいる。私もそのような政治家に巡り合った経験があり、その経験が今までの政治家に対するイメージを180度変えてくれた。
公の場では、言葉や思想に注意しながら話をしているが、普段は優しい言葉で、気さくに政治について教えてくれた。
八木 報道レベルでの印象ですが、もっと政党の垣根を越えて団結感を持って欲しい。
末端の意見を吸い上げてくれるような、若い人の意見をもっと聞いてくれるような、若い候補者がもっと増えればいいのですが。
保坂 桑原さんは、そのような若者の意見を吸い上げてくれる政治家の一人ですね。
桑原 実は、私も政治に不信感を持っていた若者の一人でした。
よく言われる若者の政治離れは、親世代が政治の話題をタブー視して、子供たちと十分に語ってこなかったことが原因でもあるのではないかと思います。
今は、多くの若者が政治参画意識を持てるよう様々な活動をしており、できるだけ近い距離で若者と対話をすることで、若者サイドも実は政治の情報を欲しがっているということを知りました。若者からは生の声を聞き、私からも町政の有用な情報を提供することで、もっと当事者意識や政治参画への動機を高めてもらうよう活動を続けていきます。
八木 そのような意識が広がり、もしも、若者が社会の主体となったら、血液の流れと一緒で活力が出るでしょうね。
社会において一番大事なのは人と人との和。フットワークが軽く、活力がある若者が中心となれば、人と人との和もより緊密になり、裾野の意見も吸い上げるようになる。上越市も観光等を押し出して、もっと元気のある街になると思います。
ただ、若者も待っているだけではなく、もっとこうしたい!という意見を上に挙げるべきで、それを広げるためにはコミュニティーと対話が必要。
保坂 過去にも、タウンミーティング、市民討議会等、上越青年会議所も機会を創出してきた。そのような場を設けて若者の意見を聞くと、若者もいい意見を持っている。ただ、意見を吸い上げるまでは上手くいくのだが、そこから先が上手くいかない。
そこから先に進むには、桑原さんのように、それを受け止めてくれる政治家がいなければならない。ただ、誰かに作られた場ではなく、自分達で自発的に集まって対話を繰り返し、ふるさとに一番必要なのは何か?という議論が起こり、それを政治家が参考にして、よりよい政策に変えていくようなスパイラルができれば理想ですね。
ちなみに、桑原さんを応援してくれているのは若者が中心ですか?
桑原 若い方が中心ですね。政治活動のビラ配りを同級生がやってくれました。いままでこんな光景みたことない、と訪問先で感心されました。
保坂 いままでにない試みをされている、間違いなく刺激になっていますね。
私だって、同級生が議員になれば意識するし、今以上に政治に興味を持つようになる。
そのような環境づくりをして、俺たちの代表が、または俺たちが、まちを変えてやる!という意識になれば良い社会になる。
そもそも祭りと政治は一緒だと思います。なにより、まちが大好きで、まちを楽しく、まちを良くすることが目的。
だから、入り口は祭りであっても構わない。それをどのように政治に結び付けるかが今後の課題。
上越青年会議所も、そのような思いを事業にするため、政治意識向上に力を入れる一年にしていきます。お二人には是非とも様々な場面で力を発揮していただきたいと思います。
本日は大変ありがとうございました。