第三弾記念対談


対談ゲスト:永井克行氏 (上越市科学館 館長)

進行役:市川裕光(公益社団法人 上越青年会議所 第50代理事長)

対談会場:上越市科学館2Fエネルギーブースにて 2014年5月13日

本日は対談の機会を頂戴し誠にありがとうございます。また、対談の場所としましても、新たにリニューアルされた科学館のエネルギーブースで行えることにとても感銘を受けております。
私ども上越JCでは本年度新たなエネルギーをキーワードに活動を行っている近未来エネルギー委員会という委員会があり是非とも、本日はそちらの委員会の関連性の部分からの質問をさせて頂きたいとと思います。

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①【エネルギーブースについて】

[市川理事長] 上越青年会議所は、新しい上越の可能性として「エネルギー」をキーワードに活動する近未来エネルギー委員会を設けております。その中で新たにゆるキャラを作成し現在活動を始めております。科学館の方でも今年新たにエネルギーブースが開設されましたが、そちらも観光や教育の部分に繋がると思いますが、今回ブースを開設された経緯についてお話しくださいませ。

[永井館長] 直江津にLNG基地、上越火力発電所ができた。中規模都市でこれだけのエネルギー施設があるのはあまり例がない。市の方針として環境エネルギーに関する学習施設を作ろうという話もあった。Eゾーンはもともと「人と環境」というテーマだが、以前の展示はどちらかというと自然環境。気候によって人の肌の色や建物が違うといった展示だった。今度は人間とエネルギーの関わり合いが軸。

エネルギー施設にも構内の見学ルートがあり、現物が見られるが、大きすぎて全体像が把握できないという声が見学者からあったらしい。科学館はコンパクトにまとめて見せる。現物を見て、頭に入れた上で科学館に来てもらえると、より理解しやすい。連携を模索中。学校への両方の施設を使った学習の提案も準備している。

[市川理事長] JCも環境、教育といった部分を視野に入れて取り組みをしている。今後も私たちの提案を新しいEゾーンに採用していただけたら。

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②【昔からの上越地域とエネルギーの関わりについて】

[市川理事長]上越には牧区の油田や八千補の天然ガス等、今までもエネルギー資源との関わりがありました。これに今後は近未エネルギーも加えて、非常に豊かなエネルギーの土地になると考えられます。永井館長が、それらから思われます上越のエネルギー都市の構想等はどうお考えでしょうか。

[永井館長] 牧区の石油について、宮口古墳の遺跡からアスファルト玉が見つかっている。アスファルトは原油がもとで、装飾品にして使っていたらしい。古墳時代からしみ出していた。天然ガスや石油は決まった地形の場所に出るが、ここ上越にもあった。最近話題になっている直江津沖のメタンハイドレートも有望。海底の下が煙突構造になっていて、採掘も技術的にそれほど難しくはない。商業ベースになれば、今のLNG基地、火力発電所だけでは足りない部分をメタンハイドレートが担ってくれるのでは。

 

③【メタンハイドレートの期待度について】

[市川理事長]JCは実際の経済活動、商業的な取り組みができるわけではないが、新しいエネルギー基地としての上越の都市構想を提案していきたい。メタンハイドレートは全国各地にあるが、特に上越沖に埋蔵量が多く確認されていると言っても過言ではない。Eゾーンでも触れられている。使い方や実用性などの期待度は。

[永井館長]メタンというと温暖化を心配する人もいるが、要は天然ガス。エネルギーとして使う場合はガスとして調整して使うので、適正に使えばそこまで心配はないのではないか。単純に埋蔵量が多いのは喜ばしいこと。流通の起点になれば大変なことで、非常に期待できる。10年くらいの期間で見ると、ひょっとしたらうまくいくのでは。科学館としては実験をしたい。メタンハイドレートを使って実験をすればメタンハイドレートは何物か、メタンガスとはどのようなものなのかを、より子どもたちに理解してもらえる。純粋なメタンはマイナス182.6度で個体になる。実験でぜひやってみたい。天然ガスは実験で使うのは容易ではないが、メタンハイドレートの形にすればそれほど危険性はない。液体窒素がマイナス196度なので簡単に固体のメタンが作れる。面白そう。

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④【子ども達とエネルギーとの関わりについて】

[市川理事長]私たちもメタンハイドレートの潜在性、実現性を委員会メンバーを中心に勉強し、メタンハイドレートを利用した上越の未来、エネルギー供給地の提案、発表を行っていきたい。夏休みに子どもたちを対象にしたメタンハイドレートの実験教室を計画中で、永井館長に協力いただく予定。持続可能な発展に向けてエネルギーとの関わり方を子どもたちと考えたい。Eゾーンを通じて市民、とりわけ子どもたちにどのようなことを知ってもらいたいか。

[永井館長]エネルギーとコミュニケーションから名前をつけた「エネコミステーション」に毎週日曜日にエネルギー博士が登場し、エネルギーとはどういうものか話をしている。サイエンスショーとは少し違い真面目な話で、現在の電気がどういう状況かを話す。子供たちは電気をどういうふうに作っているかはまず分からない。高学年の児童は「発電所」と答えますが、発電所は何かというのは分からない。 エネコミステーションには火力発電のモデルがある。カセットコンロと三角フラスコ、タービン(羽根車)の模型。フラスコで湯を沸かし、ノズルから水蒸気が勢いよくでるとタービンが回る。タービンにはモーターが付いている。モーターと発電機はイコール。電気を流すとモーターが回り、逆にモーターが回ると電気が作れる。モデルを「世界一小さい火力発電所」と呼んでいる。火力発電所も原子力発電所も、巨大な湯沸かし器だと説明している。 カセットコンロでどんどん湯を沸かしてもLED1個が点灯するだけで効率が悪い。どうすればいいか。ソーラーパネルなどを使った「持続可能なエネルギー」が出てくる。現在ステーションで使っているのは燃料電池。ソーラーパネルで光を受けて発電し水を電気分解する。水素ガスと酵素ガスを燃料電池に送ると、化合する際のエネルギーで電気が起きる。水素ガス、酵素ガスを作る電気も自然エネルギーからもらったほうがいい。 ソーラーパネルと燃料電池の組み合わせを使うと、効率よく発電でき、真の意味で持続可能、循環系になるということをエネコミステーションで説明している。メタンハイドレートを悪く言うつもりはないが、化石燃料などでどうしてもいずれは限界がくる。その後を考えておかなくてはいけない。子供たちには本当の意味でのエネルギーについての考えてもらいたい。

[市川理事長]日本全国、世界にエネルギーを供給できるような,直江津港を利用した夢のある上越の都市構想をJCとして提案、発表していきたい。 夏休みに近未来エネルギー委員会と科学館が連携して、エネルギーがテーマの授業を子供たちに広めていきたいと考えている。応援の言葉をいただければ。

[永井館長]JCの1番の武器は行動力。メタンハイドレードは千載一遇のチャンスで、これを軸に進めると上越も良くなると思う。行動力も全面に出して突き進んでほしい。

[市川理事長]50周年を機に、次の60周年、100周年の上越の未来を据えて活動していきたい。本日はありがとうございました。

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