Paradigm shift
変化を楽しめ、
圧倒的熱量で静寂から熱狂へ
第56代理事長 小寺 裕
はじめに
テクノロジーの進化は目覚ましく、人工知能がロボットに実装される世界はすぐそこに来ています。我々は、未だかつて人類が経験したことの無いほどの速さで環境が変化する時代を生きています。スマートフォンが現出した世界に、突如としてブロガーやユーチューバーが誕生しました。SNSや動画配信サービスを利用して個人をブランディングすることによってマネタイズするビジネスモデルです。特定の場所や組織に依存することなく、自分というキャラクターを活かし、好きなことを職業にして収入を得ることが可能になりました。価値観が多様化し、ライフスタイルが劇的に変化する中で、企業をはじめあらゆる組織における中央集権的なシステムは崩壊の危機に晒され、組織維持が困難な時代を迎えるでしょう。力のある個人やその集団が社会に大きな影響を与えるようになり、オンラインサロン型のフラットなコミュニティが次々に生まれ、個人が個性を発揮し、何より楽しく、遊ぶように働く、そんな新時代の到来を実感します。
クラウドファンディングが普及した今、アイデアに対する共感や信用力を資金に換え、広く大衆から調達することも可能になりました。ビジネスに必要な要素であるヒト、モノ、カネ、情報はインターネットを介して容易に手に入ります。好きなことで生きていくハードルは劇的に下がっているのです。そして5Gの導入をきっかけに世の中の変化は更に加速するでしょう。物理的な距離の壁は無くなり、ビジネスも形を変えていきます。既存のビジネスモデルが崩れ、業界自体が丸ごと無くなる事態が同時多発的に起こる可能性すらあります。ともすると地域という概念さえ次第に薄れていくかもしれません。
これほど変化が大きく、早く、予測不能な現在、我々は何を目指すのか。テクノロジーの進化は決して悲観的な結果を生むばかりでなく、利便性が向上し、新しい産業が興るなどプラスの側面があることは間違いありません。また、変化が起こるときには、必ず課題が生まれ、その課題の解決こそチャンスであり、我々の使命でもあります。時代が変わろうとも我々が生まれ育ち、愛着を持つこの上越に対する想いは変わりません。上越が抱える課題について、多様な価値観や個性を持つ仲間と共に力をあわせてより良い地域を作り上げてくことは、長きに亘り地域とともに歴史を紡いできた我々にしかできません。変化に先回りし、失敗を恐れず果敢に行動することが、我々JCという組織の精神であり、プライドです。どんな状況でも常に地域におけるポジションをとり、プレゼンスを高め続ける組織、それがJCです。
会員拡大と全体戦略
近年、上越JCの会員数は減少の一途を辿っています。会員が減れば、組織の活力が低下し、実施する事業数が減るだけでなく、公益社団法人としての組織運営そのものが危うくなります。こうした現状を踏まえ、会員拡大と会員育成の両方に力を入れることはもちろん、JC自体のブランド価値を高め、単なる認知を越えた愛着を持って頂ける市民(=ファン)の獲得を目指す必要があります。メディア戦略に力を入れ、我々の事業や理念を市民の皆様に知って頂き、味方を増やすことからはじめましょう。会員一人ひとりがJCに誇りを持ち、自信を持ってJCを知人に勧めることができ、更に自社のスタッフもJCに預けたいと思える組織づくりが急務です。
次代を担うリーダーたちへ
JCに同期入会した会員同士は、期待や不安の中、長く同じ時を過ごすため、強い結束力が生まれ、素晴らしい仲間ができます。まずは、何事も成長の機会と捉え、前向きに参加することが肝要です。せっかく自己成長を求めて入会したのですから参加しなければ勿体無い。積極的に学びにいく、仲間を作りにいく、与えられた機会を最大限活かし、是非とも自分の成長を掴んで下さい。自身の成長に限界はありません。求めればどこまでも成長できます。ビジネスのつながりを超えた絆がここにはあります。
規律と独創性
月に一度、会員全員が集まる例会では、厳粛なセレモニーが行なわれます。これはJCのアイデンティティであり、諸規則に則りしっかりと運用していきます。一方、例会アワーは、自由度が高く、学びや楽しみを得られる時間とし、会員同士の情報交換やビジネス交流の場として演出します。メリハリがあり、充実した内容をもって、参加者の満足度を高め、結果的に多くの会員が参加する例会を作りましょう。
独自メディアの確立
JCの事業はどれだけ市民に届いているでしょうか。我々は毎日処理できないほど膨大な情報を浴び、その中から取捨選択を行なっています。新聞、テレビのようなメディアを全く見ない世代もいます。マスメディアの独壇場だった時代は過ぎ去り、様々な広報の手法やコミュニケーションツールが存在する今、本来届けたい方に情報を届けるために、戦略的に情報を発信していかなければなりません。事業を行なっても情報が届かなければ、その存在を知られることは無いため、事業は実施しなかったも同然です。我々の事業やメッセージを知っていただくため、そして集客対策に費やしていた非効率性を解消して事業本来の目的を遂げるために、JC独自のメディアを作ります。既存のメディアも活用しながら、魅力あるコンテンツを発信するオリジナルな情報チャネルは、個々の事業の魅力と相まって、コアなJCファンの創出につながります。
価値の創造
SNSなどで積極的に情報発信し、他人の購買行動や世の中に対して大きな影響を与えるインフルエンサーとコラボレーションすることは、企業のマーケティング戦略として既に当たり前になっています。JCにおいても同様、積極的に取り入れるべきです。しかし、どのような切り口が世間的に受け入れられるのか正解は誰にもわかりません。そのような中でも、斬新な企画を数多く打ち出し、実行し続ける事が大切です。失敗から学び、改善を繰り返し、世の中の反応やニーズを体感しましょう。結果が想定される事業に、もはや意味はありません。摩擦や批判を恐れるな、賛否両論分かれることを世の中に問い続けよう。まずは注目を集め、認知してもらう事です。信念をもって続ければ道は開ける。
ビジネスに革新を
我々はJCの会員である前に、企業人です。まちづくりや地域課題の解決にビジネスの発想や手法をどんどん取り入れるべきです。様々な業種の青年経済人で構成された我々の強みがそこにあります。各々がビジネスや思考の幅を広げ、物事を多角的に分析することで革新的な発想が生まれます。そのような発想力は社業だけでなく、上越がより良い地域に変わる原動力となります。我々はビジネススキルやチャレンジ精神を高める機会を創出することを通じて上越を変革するリーダーが育つ土壌を作ります。
楽しさの追求
今の時代、ググれば多くの情報が手に入り、全て分かったような錯覚に陥ります。情報の正確性に関わらず、その情報をもとにJCは評価され、所属すべきコミュニティか判断が下されます。ネットの情報や噂話を覆すリアルな評価軸を生み出そう。それには圧倒的な結果が必要です。いつの時代も楽しそうなところに人は集まります。人々が熱狂するようなイベントを本気で作ります。そこに新たな理解者や賛同者、サポーターやコアなファンが生まれます。真面目に、そして楽しく、本気で遊ぶ。JCの真髄を見せましょう。
組織に変化を
透明性を高め、情報共有を徹底的に効率化したフラットな組織作りは、事業の自由度を高め、変化に対応しつつ、主体的に行動できる組織への第一歩です。今やコミュニケーションは手紙でも、電話でも、メールでもなくLINEやSNSが中心です。コミュニケーションのあり方も一昔前と様変わりしました。厳しいビジネス環境や、日々膨大な情報処理に追われる状況でも、JC運動ができる環境作りが求められています。人材を幅広く求めるためにも組織は、時代に合わせて変化せざるを得ません。JCの普遍的な価値や本質を見極め、時代に合わせてアップデートすべきです。失敗を恐れず、変化に挑もう。
結びに
かつて産業革命期にラッダイト運動が起こりました。しかし、失業の恐れを感じた従業員たちによる機械の破壊運動は、テクノロジーの進化の大きなうねりを止めることはできませんでした。IT革命以降、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)が国家並みの影響力を持つようになり、巨大なプラットフォーマー達によって、多くのビジネスモデルは崩壊し、撤退を余儀なくされました。うまく変化に対応できた会社や組織だけが生き残る厳しい時代です。我々はこの変化をチャンスと捉え、少しだけ先の未来に賭け、今この瞬間にある課題に立ち向かう挑戦者です。何が起こるか分からない時代。変化を恐れるな、変化を楽しもう。圧倒的な熱量で行動し、上越を熱狂に巻き込もう。上越から世界を変える、そんな景色をみんなで見よう。世界を変える、準備はいいか。
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