2023年度スローガン
第59代理事長 西山 光瑠
第59代理事長 西山 光瑠

はじめに

 「新日本の再建は、我々青年の仕事である」という覚悟のもと、1951年に日本青年会議所が発足しました。上越においても1963年に高田青年会議所、1964年に直江津青年会議所が発足し、行政に先駆けて1965年に合併された高田直江津青年会議所を経て、1971年の上越市誕生とともに上越青年会議所が誕生しました。今日まで先輩諸氏が築いてこられた歴史は脈々と受け継がれ、上越青年会議所の大きな礎となっています。戦後からの高度成長、バブル景気とその崩壊、IT時代の到来、そしてたびたび国土を襲う大震災といった、数々の時代の転換点に直面した当時の青年たちが、勇気を持って新しい日本の再建を目指したように、これまで経験したことの無い変革期を迎えた現代の我々もまた、先達への敬意と感謝、青年会議所の使命を胸に変化を恐れず前進し、栄光の歴史に連なる新しい未来を切り拓いていかなければなりません。
 2020年から本格的に世界に広がりはじめた新型コロナウイルス感染症はパンデミックを引き起こし、我々がそれまで当たり前だと思っていた日常を一変させました。ウイルスは未だに変異を続けながら度重なる感染爆発を引き起こすため、我が国は長引く経済の低迷から抜け出せず、人々の行動は制約から完全に開放されることがなく、かつての生活がいつになったら戻るのか一向に目途が立たない状況です。また海外に目を向ければ、ロシアによるウクライナ侵攻という暗く悲しい事態は収束を見せず、大勢の子供や一般市民の尊い命が奪われ続け、世界平和の根底を揺るがしています。そしてJCI上越との親交も深い台湾においても、中国による軍事的な圧力について報道されるなど、世界では多くの紛争や人権侵害がありJCIの理念である「恒久的世界平和」が当たり前のものではないということを痛感させられるニュースに溢れています。日本人の日々の生活においても急速に進んだ円安がもたらす物価上昇や、石炭や液化天然ガスなどエネルギー価格高騰による電気代・ガス代の値上げ、人口減少により生じる経済規模の縮小や労働力不足、地球温暖化がもたらす異常気象による災害など解決の兆しが見えない問題は山積みで、これまで常識だと思っていたことが次々と覆ってしまうあまりにも大きな変革期を我々は生きています。未曽有の変化の真っ只中である現在、JCがやるべきことは何なのでしょうか。企業の経営を担う青年経済人として、子供を持つ親として、メンバーそれぞれ立場や考え方は様々ですが、上越を良くしたいと願う気持ちは一つです。地域の未来を見据えて道筋を立て、描いたビジョンを実現するために運動を続けていくことは、昔も今も変わらないJCの使命であるという思いは益々強くなる一方です。来年2024年には、JCI上越は60周年を迎えます。2019年に発表した行動指針・CREDOで宣言している通り、我々JCI上越は桜人(SAKURA-BITO)~地域の課題に向き合い、5つの愛(I)で故郷に感動の花を咲かせる人~の精神性を持って明るく豊かな上越の未来を創造し、感動を生みだす先駆者として上越の道を切り拓こうではありませんか。

会員交流委員会

 月に一度決められた日に、メンバー全員が同じ空間に集まり時間を共有する例会は、JCに所属するにあたり大変貴重な機会として位置づけられます。それぞれ社業や家庭がある中で、時間を捻出して集まるからには、メンバー一人ひとりにとって学びと実りのある例会が求められ、LOMの事業を円滑に行うための情報交換の場として機能する必要があります。自身が所属するLOMであっても、委員会が違うと他のメンバーが何をしているか分からないという状況に陥りがちです。それではJCI上越の運動を対外に伝播し、地域を巻き込んでいくことはできません。しっかりとLOM内の情報を共有し、LOM全体が一丸となって一つの方向を目指すことが大切です。そのために各委員会による担当例会を設け、本年度取り組んでいる運動についての調査・研究の成果を示し、今後の展望を伝える場とします。また、出向者からも地区協議会やブロック協議会での経験を通して得た様々なインプットを、例会でLOMメンバーにアウトプットすることで自身の成長とメンバーの学びの場とします。
 例会を設営する会員交流委員会には、JCにおいて連綿と受け継がれてきた「決まりごと」即ち、JAYCEEとして守るべき行動規範、流儀・作法や、席次、服装といったところまで緊張感のある設営を望みます。JCの非常に良い点として挙げられるメリハリのある振る舞いを、厳格なセレモニーと独創性溢れるアワーという例会に表し、メンバーにとって大いなる学びと実りある充実した機会とします。

オリエンテーション委員会

 JCI上越には、入会1年目のメンバーが所属するオリエンテーション委員会が設けられています。オリエンテーション委員会に所属する一年間は、新入会員にとってJAYCEEを理解するために欠かすことのできない大切な時間となります。まずはJCとは何かをしっかり学び、JCの掲げる理念を自分なりに落とし込むことが大切です。その理解は人によりそれぞれ違いますがJCで目指す自分なりの姿をしっかりと見つけることで、自発的にJCの活動に参画することができます。そしてJCは社業や家庭を抱えながら活動時間を作り、他人のために知恵を絞り、汗を流すからわかることが数多くあります。その経験を経て初めて先輩の功績の偉大さを感じ、尊敬の念が湧いてくることでしょう。ぜひ入会1年目という限られた時間に可能な限り多くのことを体験してJCへの理解を深め、次年度以降を前向きに捉えられる人財へと成長して下さい。またオリエンテーション委員会で出会った同期は、今後の長い人生において掛け替えのない仲間となり人生を豊かにしてくれる財産となります。活動の中では時に悩み、ぶつかり合うことも出てくると思いますが、仲間と共に乗り越えJAYCEEとしての成長を体感して下さい。

人口増加推進委員会

 上越市の人口は、平成の大合併と呼ばれる2005年には約21万人に達しましたが、現在では約18万5千人にまで減少しました。これは18年間で1割以上の約2万6千人が減少したことになります。また、近年では年間約2000人が減少し、上越市の人口は約4.5時間に1人の割合で減っている計算になります。人口減少により生じる課題は多岐に渡り、経済規模の縮小、労働力不足、医療・介護費の増大による社会保障制度の給付と負担のバランスの崩壊、財政の危機、基礎的自治体の担い手の減少などが挙げられ、社会的・経済的な影響は深刻です。既に労働力不足は差し迫った問題として会社経営に立ちはだかり、外国人労働者の雇用や外国人技能実習生の受入れに取り組む企業も増えています。
 この人口減少を上昇傾向へと転じさせることが難しいのは明白です。しかし難しい問題だからこそ、政治や行政に任せきりにするのではなく、次世代を担う世代が将来を見据えて策を講じるべきであり、特にこの問題に一番寄り添えるのは、労働力不足を身近に感じている企業人であり、子育て世代を多く抱える我々JCです。全国の地方でも同じ問題を抱えています、その中でU・I・Jターンの促進や、子育て支援などその地域の特性を生かして人口増を実現している所はあります。上越の強みを生かしたアイディアにJCらしい斬新な発想をプラスすることで、上越の明るい未来への道筋となるような運動を展開します。

上越道しるべ委員会

 上越市は、上杉謙信公や春日山城といった日本史に刻まれる歴史的遺産や、総延長日本一の雁木が織りなす風情ある街並み、山と海の豊かな自然とその中で育まれた米や山菜、海産物などの美味しい食材、人情味がある温かい上越人の気風など、この地でしか味わえない数々の魅力に恵まれています。また、北陸自動車道と上信越自動車道の接合点でもあるため、三方向に高速道路が伸び、北陸新幹線や直江津港を有していることから、多様な交通手段においてどの方面からもアクセスしやすく、交通の要としての地理的条件にも優れています。しかしその反面、豊富な地域資源を当たり前に感じてしまい、上越の魅力に気が付かず地元を好きだと堂々と言える人が少ないと感じます。
 パンデミックによるこの数年間は我々の自由な移動は制限を余儀なくされましたが、徐々に行動制限の緩和が進み今後のafterコロナには多くの観光客や移住者を上越市に迎え、交流人口の増加を図ることが重要です。この大きな変革期を追い風に変えるような柔軟なアイディアで上越市全体を巻き込み、より多くの市民がふるさとの良さを再認識し、自信を持って「上越が好きだ」と言えることが何より大切です。地元愛に溢れる地域には自ずと関心を呼び、そこに魅力を感じることで上越に自然と人が集まって来ると確信します。

会員拡大委員会

 本年度、JCI上越は64人でのスタートとなります。毎年、会員拡大に力が注がれ新しい仲間を迎えていますが、平均在籍年数が4年未満と言われる近年は、新入会員より卒業生の人数が上回ることも多く、以前はビッグLOMと言われていた時代を知らないメンバーが大半になりました。
 JC運動は、まずはその想いに共感してもらえる仲間を増やさなくては大きな運動へとつながりません。時間を作り議論を重ね導き出した運動を地域に伝播するうえで、最初の理解者であり発信者はメンバーです。その掛け替えのない仲間を一人でも多く招き入れることが運動を進めるうえで重要です。少子高齢化に伴い入会対象となる人口も減少していますが、だからこそ次世代を担う青年経済人は現状を問題視しているのではないでしょうか、未来に向けた問題を共感し、自らが次世代を担う当事者であることに気付き、その中でJCを理解してもらえればきっと仲間が増えると確信します。我々の日々行っている運動や活動は、上越の未来につながる道づくりそのものです。自信を持ち拡大運動を進め一人でも多くの仲間を迎え入れます。

出向会議

 JCとは何か。様々な場面で語られるこの問いに込められたJCへの想い。それは100人いれば100通りのものがあります。LOM以外の多くのメンバーと出会うことができる出向は、ブロック、地区、そして日本全国の個性豊かなJAYCEEとの交流が個人を刺激して人間性や仕事力を育み、各々のJCに対する参加態度についても影響を与えることでしょう。そしてその後のJC生活を大きく変容させることになるかもしれません。なぜならまさに私自身が出向を通じてJCへの向き合い方が大きく変わったからです。入会7年目までの私は、JCI上越に入ったのだから地元のために尽力することが何より大切であると考え、上越という枠を飛び越えて活動の範囲を広げることに積極的とは言えませんでした。
 しかし、2021年度に新潟ブロック協議会への出向を経験したことにより、県内外で活躍する多くのJCメンバーから計り知れないほどの刺激を受け、これまでになく前向きにJCを捉えることができるようになりました。そして出向以前に比べ飛躍的に自分自身を成長させることができたのです。
 私が経験したような出向をより多くのメンバーにも経験して頂きたいですし、出向を通してインプットした数々の学びを自身のみに留めず、他のメンバーへアウトプットして頂きたいと考えます。本年はより一層の出向者支援体制のもと、出向によるLOMへの波及効果が最大限得られるようにし、LOMの発展へとつなげます。

結びに

 2020年初頭から始まった新型コロナウイルス感染症はそれまでの世界を一瞬にして覆しました。何よりも変化したのは人と人とのコミュニケーションであり、人と人とが直接会って挨拶したり言葉を交わしたりすることが大切にされていた世界に、ソーシャルディスタンスというルールが持ち込まれ、オンラインを利用してWEB上でやり取りをする非対面のコミュニケーションが台頭しました。
 JCにおいても同様に非対面化が一気に進み、パソコンやスマートフォンが手元にありインターネットがつながれば、どこにいてもWEBで会議に参加するのが当たり前になりました。この変化は、変えたくても変えられなかった仕組みを強制的に改革した大きな前進であったと捉えています。しかしその反面、WEBでは対面と違い積極的な発言が出づらくなり、多くの意見の中で揉まれることにより生まれていた新しいアイディアの創出が少なくなったと感じています。withコロナからafterコロナへと時代が変わる今、WEBの利点は活用しながらも、リアルにメンバーが集まって顔を合わせ、青年経済人として上越の未来を創造し、革新的な運動を起こすことが使命です。

“Where there’s a will, there’s a way.”
~意志あるところに 道は開ける~


 この言葉は第16代アメリカ合衆国大統領のリンカーンの言葉で、どんな困難な道でもそれをやり遂げるという強い意志を持てば、必ず道は開けるという希望と勇気の湧く言葉です。小さな娘二人を持つ父親として私がただただ願うのは、子供たちが様々な可能性を秘めた未来に希望を持ち、上越やさらに先の広い世界で自由に羽ばたいて、幸せに生きてくれることです。もしも辛い時には帰ることができるふるさとをいつまでも残したいですし、もしも子供を持つことになった時には、生まれ育ったふるさとのことを温かく思い出してくれたらと、ささやかに期待するのです。それは一筋の小さな希望の光だけれど、我々を確かに照らし、多くの市民と共有することで未来へと導いていってくれるはずです。我々JCの行っている活動・運動は、先の未来を見据え明るい豊かな上越へとつながる 道だと確信します。

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