理事長所信

 

 

FUN TO JC,AGAIN

我々の想いを地域の方々に届け共に運動をしよう。

そしてJAYCEEである事に誇りを持ち、JCをもっと楽しもう。

理事長 植木 厚祐

~ はじめに ~

上越JCは先輩諸兄の上越市合併運動や、北陸新幹線開業運動といった創始の滾る想いを脈々と引き継ぎながら、時代に即した変革を遂げ、52年間の運動の歩みを進めてきました。しかし、時は流れ、観光や教育といった分野に特化したNPO法人を始めとするまちづくり団体が次々と設立され、世間からは「青年会議所しかない時代」から「青年会議所もある時代」と言われるようになり、この地域における青年会議所の存在感が薄れてきているように感じます。私たちが如何に情熱を傾け活動・運動しようとも、それが地域の方々に伝播し共感を得ていなければ青年会議所の運動を成し遂げたとは言えず、先輩諸兄が築きあげられてきた軌跡を辿ることはできません。「青年会議所もある時代」の中で、青年会議所しかできない事、青年会議所だからやるべき事をメンバー一人ひとりが考えていかなければなりません。そして、青年会議所しかできないこと、青年会議所だからやるべきことを考えている時間こそが、JAYCEEとして一番楽しく面白い時間であります。自らが考える上越の理想像を具現化し、地域の方々と共働してやり遂げた時の充実感は、何物にも代えがたいものでありJCの魅力の一つと言えるでしょう

上越JCは2015年度、組織の意識統一を図り力強い運動展開を可能にするためにCREDOというシンボリックなテーマを時代に即した新たな行動指針として掲げました。『最高の資源を活かし、自律的で持続可能な「上越」の未来を創造』という大目的と、「活かす」「育てる」「協働する」「発信する」という行動指針がそこにはあります。このシンボリックなテーマは上越JCとして唯一無二のテーマであり、理事長申し送り事項として55周年を迎えるまで基本資料に掲載することになります。上越には歴史、文化、自然環境、人柄といったものを背景とした最高の資源が数多く存在します。青年会議所の運動は単年度制という特徴があり、短期的なスパンで今すぐ活用できる資源もあれば、中期的なスパンでその最高の資源を市民の力で磨き上げることによって光り輝くもの、長期的なスパンで、先駆けて取り組み、時間をかけしっかりと育むものも存在します。結果だけに拘ることなく各委員会が上越の最高の資源を磨き上げて活用し、時間をかけて育て上げ、市民と共に協働し、全世界に発信することでLOMとしての目指すべき方向性を統一し、上越の明るい豊かな社会の実現へ向けて力強く運動を展開していきます。

 

~ 会員拡大 ~ LOMの最優先事項としての位置付け

近年、全国的に青年会議所のメンバーは減少の一途を辿っております。上越JCにおいても2013年に115名在籍していたメンバーが、2017年の今年は78名からのスタートとなります。直近の3年間も会員数の減少が続いており、急激な会員減少傾向が見て取れ、会員拡大は喫緊の課題です。我々の展開する運動をより広く地域に伝播するためには、地域の方々により我々の運動を理解して頂き、協力して頂くことが必要です。理解や協力の度合いを深め、同志として共に活動をしてくれる賛同者を増やすことこそが、即ち会員拡大へと結びつくのです。賛同者を増やすには、我々が発信する運動や事業の根底にある理念を理解して頂くと同時に、その運動や事業を通して地域にどのような効果をもたらし、自己がどのように成長するのかなど、青年会議所の魅力や楽しさ、共に運動を展開することの面白さを伝え、協働して頂く必要があります。そのような形で協働し入会したメンバーと共に、新たな目的に向かって知恵を絞り、汗をかき、妥協することなく突き詰めて更に運動するからこそ、築かれる同志との信頼関係や自己の限りない成長があり、組織としても進化することができるのです。何物にも代え難い青年会議所での経験はメンバーだけが享受できる財産であり、大きな魅力です。昨年、広報委員会を設置し、広く市民に我々の運動を発信してきたことも追い風となっています。本年は会員拡大をLOMの最優先事項と位置付け、LOM一丸となって強く推進していきます。

 

~ クラウドファンディング ~ 外部資金調達からファン創り、更には協働へ

上越JCの運動は、メンバーからの年会費によって予算を執行し、各種事業を展開しています。近年のLOM財政状況を鑑みた時、会員減少の影響から、決して多くの予算が各委員会に振分けられているとは言えず、思い切った大胆かつ斬新な事業を行えないといった事例も過去にありました。限られた予算の中で最高のパフォーマンスを行うこともJCの修練の一つですが、会員拡大がなかなか思うように進まない状況下で、今後も予算の緊縮が懸念されます。こうした背景の中で、我々がもっと大胆に自分たちの考える事業を展開できるように、外部資金の獲得を推進していきます。具体的には、我々の運動に共感して頂いた上で、インターネット上にて外部資金を調達できるクラウドファンディングを有効活用します。新たに取り組むこのクラウドファンディングによるLOM予算の獲得は、外部資金調達の手段だけでなく、広告宣伝効果や、その事業への集客効果も期待できることから、各委員会に積極的な活用を促します。また、通常の会社経営でも同様に、売り上げが伸びても経費が嵩んでしまえば意味がありません。外部資金の獲得と固定費見直しを同時並行的に行い財政の健全化を図ります。更に、上越JCとして次年度以降にも持続的に活用でき、財政基盤を安定させるスキーム作りをすることで、我々の運動を通し上越地域の明るい豊かな社会の実現を目指します。

 

~ オリエンテーション委員会 ~ 1年目に経験して欲しい事

 上越JCは入会1年目のメンバーは必ずオリエンテーション委員会に属し、青年会議所としての根本的な知識を習得する機会があります。そこには、オリエンテーション委員会でしか味わえない新たな出会いや発見、学びがいくつもあります。我々の運動には必ず明確な背景があり、この背景は揺るぎない事実から導き出されます。それは地域の問題点であったり、時にはこの地域の強みであったりするでしょう。その揺るぎない事実背景から、事業の本質となる目的を明確に設定し、その目的を達成するための最善の手法を探るといったJCの基本的な事業案件作成の過程を、1年目で習得することが次年度以降のJC活動に大いに役立ちます。また、過去に上越JCが行ってきた事業計画書、事業報告書に目を通し、青年会議所の運動とはどういったものなのかという事に触れることで、そこから上越JCの歴史や先輩達の想いが読み取れます。過去先輩諸兄が行ってきた運動は間違いなく何事にも代え難い上越JCの最高の資源であり、その最高の資源を今の時代に合わせてトレースすることで、過去ではなし得なかった成果が表れる可能性もあるでしょう。そして、蓄積された上越JCの最高の資源を基に、事業計画書を作成するといった過程の中で、新入会員一人ひとりが自ら考える明るい豊かな社会の理想像を描きつつ、多くの意見をメンバーで共有し合いながら、一つにまとめる力を養って下さい。その過程には、意見の食い違いや、方向性の違いから、様々な形での心の葛藤があるはずです。しかし、これがJCで言うところの修練であり、自らの考え方や想いを同期のメンバーに理解してもらうまで議論を交わすことで、同期の絆がより一層深まります。更に、青年会議所には目的達成のための手法を学ぶセミナーや講演会が数多く存在し、対外事業や委員会の事業に積極的に参加することで多くの学びを得ることもできます。我々は新入会員が青年会議所への入会を機に、多くの出会いや学びの中で自己の成長を遂げ、2年目以降にLOMを支える、即戦力となる人材を育成していきます。

 

~ 会員交流 ~ 例会の意義・目的とは

上越JCは78名からなる組織であるがゆえにどうしても委員会単位の活動に注力しがちで、1年間の活動だけを見ると他の委員会メンバーとの交流が希薄になっていると感じます。また、会員交流委員会がいくら呼びかけをしてもなかなか全メンバーにて例会を開催することができないといった現状があります。定款には、「例会とは本会議所の事業を円滑に行うための情報交換及び学びの場とする」と記載がありますが、例会が各委員会の事業を円滑に行うための情報交換の場であるならば、例会の場において各メンバーが所属する委員会の事業計画過程や事業内容を他メンバーに伝え、理解してもらえる場面が必要です。更に、学びの場であるならば、青年経済人としての資質向上や、各委員会の方向性を示すことを目的とした各種セミナー、講演会の実施、体験型学習などを設営した上で、メンバーが参加したいと思える居心地の良い楽しさや、興味を引き立てる面白さを付け加えることが必要です。メンバーが月に一度、一同に会する例会の場は、今年の委員会メンバーだけでなく、同期入会の仲間や、同級生、前年の同じ委員会メンバーなどと何気ない会話の中から近況を聞ける絶好の機会です。電話やメールではなく、メンバー一人ひとりと目と目を合わせお互いの表情を見ながらコミュニケーションを図るからこそ、メンバー同士の更なる交流が促進します。会員交流委員会が年間を通して例会の意義や目的を果たした設営を行い、メンバーもその意図や目的に共感した上で興味をもって参加することで、必然的に例会席率が向上すると同時に、より強固な組織へと昇華しLOMの成長へとつながるのです。LOMの成長は地域に根付いた運動を展開している我々の成長であるが故に、必ずや地域の発展の一助となると確信しています。

 

~ 経済活性 ~ 短期的スパンによる交流人口増加を目指して

 上越市では特徴的な歴史や文化、自然環境といった地域特有の資源を基に、年間を通して多くの祭りやイベントが行われています。2月のレルヒ祭・灯の回廊、4月の高田城百万人観桜会、7月の上越まつり、7月~8月にかけて行われる上越蓮まつり、8月の謙信公祭、10月の城下町高田 花ロードや越後・謙信SAKEまつり、また、元々独自の町村であった13区には、歴史や伝統を重んじた魅力ある祭りなど、事業主体は、観光コンベンション協会、NPO、まちづくり市民団体、それらを融合させた実行委員会など、様々ですが、その祭りやイベントを陰で支え、惜しみない協力をしているのは、その祭りやイベント趣旨に賛同し、参画している上越市民に他なりません。しかし、その一方でその祭りやイベントを静観している上越市民がいることも否定できません。20万人いる全上越市民が、交流人口の増加という同じ目的の元、祭りやイベントにもっと参画意識を向けて頂けるような働き掛けをすれば、上越の歴史や文化、自然環境といった地域特有の資源をもっと全国に発信することができるのではないでしょうか。我々には8月上旬に行われる上越オクトーバーフェストIN蓮まつり(以下「上越オクトーバーフェスト」)という一大事業があります。そしてその上越オクトーバーフェストは今年、10回目の記念すべき開催となります。10周年を機に、今までの10年間の歩みを振り返り検証すると共に、今後の持続的開催へ向けた方向性を示さなければいけません。LOM事業の中でも圧倒的な集客力を誇る上越オクトーバーフェストにおいて、我々は来場者に何を伝え、何を発信していくべきなのかを今一度LOMとして考えていくべき絶好の機会です。我々の目的に賛同し、事業を一緒に作り上げていく能動的理解者を更に増やし、共に協働して事業を成功に導く必要があります。雪国特有のどこか引っ込み思案でありながら、やると決めたらとことんやり通す上越市民の人柄、上越の市民性が最高の資源・宝であると捉え、日本人が潜在的に持っているお祭り好きな一面を更に昇華させ、今までにない切り口と斬新なアイディアで、市民と協働して新たなオクトーバーフェストの形を模索し、今後10年を見据えた一歩目を踏み出します。

~ 上越の自然利活用 ~ 地域の新たな産業創出

上越市は平成17年1月1日に旧上越市と周辺の13町村とが合併し、山間部や沿岸部、そして平野部とそれぞれの特徴的な自然の恵みが豊かで、四季の情景あふれる広域合併都市となりました。気候としては四季の変化がはっきりしており、冬季に降水量が多く快晴日数が少ない典型的な日本海型の気候となります。また近年は減少傾向にはありますが、冬期には日本海を渡ってくる大陸からの季節風の影響により大量の降雪があり、海岸部を除いた地域は全国有数の積雪地帯となっています。また、平野部には高田平野を始めとした広大な農地が広がり、多くの農業用用水が流れています。昨年10月に、130年間以上にもわたり農民の資金や労力など血のにじむ努力で建設され、新潟県では初の世界かんがい施設遺産に登録された上江用水路をはじめとする農業用用水は、冬季に降水量が多いという特徴がある故に豊富な水量をもたらします。私は毎年、冬季に主要道路や市街地から各地雪捨て場に排雪され、高く積み上げられた大量の雪や、年間を通して農業用用水に流れている豊富な水を見て、何かもったいない、地域の新たな産業創出として活用の余地があるのではないかと思いを馳せてきました。2006年、上越JCで立ち上げた「雪室ブランド」は今まさにその継続的な活動が花開き、雪室による食材の熟成技術や効果が認められてきています。更に上越市では2014年からその農業用用水を活用した集落小水力発電の可能性にも着目しており、上越の気候や自然を活用した新たな産業の創出への期待感が高まってきています。上越地域の自然環境そのものを最高の資源と捉え、雪や水資源の特性や潜在的エネルギーに着目し、これを日常生活や産業に活用しようという利雪・利水という考え方を実験的に探りながら新たな産業を創出します。

 

~ 10~20年先を見据えての教育 ~ 先駆けて、未来ビジョンへの挑戦

日本は少子高齢化が急激に進み本格的な人口減少時代を迎えており、労働力人口も大幅に減少すると見込まれています。「平成27年労働力需給の推計」(労働政策研究・研修機構)によると、2030年の労働力人口は、「ゼロ成長・労働参加現状シナリオ」では2014年の6,587万人から5,800万人へ787万人減少すると推計されています。こうした背景の基に、日本の将来の労働力人口の減少を補う形で研究が進められている技術が人工知能(以下「AI」)です。今後10~20年程度で、アメリカの雇用者の約半分は、AIやコンピューターによって仕事が代替されるリスクが高いと言われており、ロボットがルーチン的な仕事しかできなかった時代から、AIやビッグデータを活用し知的な仕事を代替する時代が確実に迫ってきています。自動運転車の実用化も既に実証実験が始まり、やがて今まであった自動車産業に伴う職業がなくなってしまうかもしれません。その他にもサービス業や知的な通訳・エンジニアなども例外ではなく、日本の将来の労働力人口は確実に減少するものの不足はしないという予測が立てられています。このような予測は極端かもしれませんが、子育て世代の我々は、このAIと共存する社会がいずれ来たとしても、しっかりと対応できる人間力の強い子どもたちを育てていかなければなりません。人口減少時代の経済成長のためには、AIやロボットによる労働の代替化は不可欠だということは紛れもない事実です。AIやロボットと人間は何が違うのか、人間にしかできないことや人間の素晴らしさを、子育て世代である我々と子どもたちとで一緒に考えていきます。子どもたちの好奇心は我々の常識には囚われず無限大でいつの時代も最高の資源です。子どもたちと一緒に、楽しみながら現在の少子高齢化・人口減少社会を理解し、やがて訪れるAIとの共存社会をいち早く体感する事で、将来のビジョンを明確なものとして夢や希望のもてる子どもたちを育み、上越の更なる発展を実現します。

 

~ スポーツ推進 ~ 中長期的スパンによる交流人口増加を目指して 

昨年、2016年に行われたリオオリンピック・パラリンピックにおいて、日本の選手団は過去最高のメダル数を獲得し、スポーツを通じ我々に多くの夢や希望を与えてくれました。そして、メディアを通じて日本選手団の勝ち負けや、結果如何だけではなく、その選手を取り巻く多くの関係者の想いや、地域単位でその競技を後押ししている事実などを知り得る機会となりました。2020年には日本の首都、東京にてオリンピック・パラリンピックが開催されることは既に決定しており、これからの4年間はよりオリンピック・パラリンピックを身近に感じながら過ごしていくこととなります。また昨年、水球の元日本代表である青柳勧氏の講演会を聞く機会がありました。自分自身が人生の全てをかけてきた水球という競技について、なんの迷いもなく、「日本ではマイナースポーツで競技人口も少なく、観客もまばらで、人気もありません」と少し笑いながらお話されていたのが印象的でした。もともと柏崎市は水球のまちではありましたが、青柳勧氏が日本代表の選手を柏崎市に移住させ、更なる水球のまちへと発展をさせたということです。これは、マイナースポーツだからできたことで、メジャースポーツの野球やサッカーの日本代表を柏崎市に移住させることは到底できることではないともおっしゃっていました。今では、全国的な水球の大会誘致や、将来的には国際大会の誘致構想まであるそうです。元来、柏崎市に水球が根付き、歴史や伝統があったからこそ可能な全国的にも稀なモデルケースではありますが、我々の住む上越市にもマイナースポーツに情熱を燃やし、そのスポーツを普及させるために日々活動している方々がいるはずです。マイナースポーツに限定することはありませんが、上越市が育んできたスポーツの歴史や文化、上越市特有のスポーツ施設などを最高の資源と捉え、徹底的に活用し、産学官民一体となって推進することで、そのスポーツを普及させることだけではなく、「おらがまちのチーム」を上越市全体で盛上げ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックという絶好のチャンスの中で、全国や全世界から多様な人の流れを創出します。

 

~ 結びに ~

楽しくなければJCではない。メンバー全員でJCをもっと楽しもう。自らが描くまちの未来を夢見て自発的に行動し、もっとJCを楽しもう。先輩諸兄が滾る想いで英知と勇気と情熱を注ぎ、そこに市民が共感し、理念を共有しながら高田市、直江津市の合併運動や、北陸新幹線開業誘致運動を行っていた時代は、本当にJCが楽しかったに違いない。その創始の滾る想いを我々は連綿と引き継ぎながら歴史を紡いできているのだから、

 

FUN TO JC,AGAIN

 

我々の想いを地域の方々に届け共に運動をしよう。

そしてJAYCEEである事に誇りを持ち、JCをもっと楽しもう。

 

我々の活動や運動は間違いなく、上越の発展に寄与している。間違ったことは何一つしていない。自分たちの活動や運動に自信を持ち、堂々と自分たちの活動や運動を市民に発信し、協働を呼び掛けるのだ。

 

 

JAYCEEとしての気概とプライドを持ち、上越の最高の資源を磨き上げ活用し育て上げ、市民と共に協働し、全世界に発信するとこで、明るい豊かな社会を築き上げ、上越の地方創生が現実のものとなると確信します。